著者:DrDenuz 翻訳:nippongwent
この記事は「Team Bandit Gang」の記事「Slavic Saturday: Kikimore (EP3)」の日本語訳です
グウェント版のキキモーラ
<aside> 🔶 導入
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昔のスラヴ人たちにとって、森とその中にある沼はどこにでもあるものでした。農場や村の周り、山でさえ、森に囲まれていました。それらの森には精霊が棲んでいました。スラヴの神話に登場する精霊は、ほとんどが友好的な存在ではありません。夜の影に潜む悪魔の話は、スラヴの部族や国中に広まっていましたが、その中でも最も恐ろしい話の一つがキキモーラ(*)です。
<aside> 🔶 語源
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すべてのスラヴ国家で、「キキモーラ」「モーラ」「ムーラ」「ズモーラ」と呼ばれる邪悪で有害な存在の概念が広まっていました。それは邪悪な悪魔で、眠っている人を窒息させ、血を飲み、異なる姿に変身できました。
ポーランドでは、キキモーラは「モーラ」と呼ばれており、スロバキアやクロアチアと同じです。セルビアでは 「ノッチニンク」と呼ばれ、英語だと「ナイトガウン(寝巻き)」の意味になります。国によって名前が違っていたとしても、この悪魔の別名は「悪夢」です。
文学作品によっては「ジジモーラ」「ジージーモーラ」でも知られています。
また、この悪魔の名はフィンランド語で案山子を意味する「キッケメルケ」にも由来しています。
この悪魔の名前はスラヴの国々では不吉な予兆とされている糸紡ぎ機(羊毛を糸に紡ぐ道具)の音にも似ています。
<aside> 🔶 キキモーラ - 金縛りの悪魔
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キキモーラは金縛りの原因だと言われており、金縛りは悪夢を伴います。息ができなくなるのはキキモーラが胸に座っているからであり、悪夢や金縛りに苦しむ最中に見る悪魔もキキモーラの仕業と思われています。